コーヒーの豆ができるまで

  • コーヒー豆珈琲豆)ができるまでの方法のご紹介をしております。
  • コーヒー豆の収穫・豆の精製(新しい生豆と古い生豆、豆の選別)
  • コーヒー豆の主な成分、コーヒーの味と成分
  • コーヒーの木と品種。一般にレギュラーコーヒーに使用される珈琲豆。
  • 欠点豆の話・・・日本人が一番おいしいコーヒーを飲んでいる。

コーヒー豆の収穫・豆の精製

説明
豆の収穫

コーヒーの実が赤く熟すと収穫が始まります。
小規模な農場や機械の導入が難しい山の斜面の農場では、人の手で一粒づつ収穫されていきます。
一方、機械の導入が進んだ大規模農場では、一列に並んだコーヒーの木を抱えるように機械が 進み回転するポールのようなもので実を叩き落します。

このような大規模農場でも完全に熟しきった豆だけを特別に人の手で摘み取って、 プレミアムコーヒーとして出荷しているところもあります。

豆の精製

収穫したコーヒーの実は精製されて果肉の部分が取り除かれコーヒーの生豆となります。
この精製方法には基本的に2つあります。

一つは収穫した実を天日で乾燥させた後、石臼や脱穀機のようなものでで果肉をつぶして種子(生豆)をとりだすもので、 自然乾燥式またはナチュラルと呼ばれ、主に小規模な農場で行われています。
乾燥した実は黒く縮んで「コッコ」と呼ばれ、脱穀されずに生豆の中に含まれると「欠点豆」になります。

もう一方は大規模農場で行われている、水洗式またはウォッシュドと呼ばれるものです。

まず水槽に入れて収穫の際に紛れ込んだ葉や枝などを取り除くと共に、完熟した実が沈むことによって未熟の実と分別されます。 分別された実は果肉除去機にかけられて果肉が取り除かれます。
こうして取り出した種子は周りをパーチメントと呼ばれる強靭で粘着質の膜で覆われており、パーチメントコーヒーと呼ばれます。
パーチメントコーヒーは更に醗酵槽と呼ばれる水槽に移され、パーチメントを醗酵させた後水洗いして取り除かれます。
種子(生豆)の乾燥は大型の乾燥機で行うものが殆どですが、中には天日で行うところもあり、セミウォッシュドと呼ばれています。

ナチュラルとウォッシュド

説明
ナチュラル(自然乾燥式)の豆は天日で乾燥させることによって甘味が増すとも言われています。
イエメン産のモカ・マタリーなどはナチュラルの代表みたいなものですが、精製に石臼を使うため、その破片がよく混入しています。 また、天日で乾燥させるときに管理が悪いと乾燥具合にむらができたり、土の匂いが付着することもあります。 乾燥の途中で雨にでも当たったら台無しになりますし、昆虫などの異物が混入していることもありますので、あまりメリットは無いといえるでしょう。
ナチュラルはその精製方法からパーチメントが取り除かれずに残っている場合が多いのですが、 これは焙煎時に燃えてきつい燻り臭の原因にもなります。 その一方、パーチメントがしっかりと生豆の表面を覆っているので水分の蒸発が少なく、生豆の長期保存に向くとの考え方もあります。
ウォッシュドの豆は基本的に管理がしっかりしているので異物の混入は殆ど見かけません。
ナチュラルに比べると生豆の色は緑色が深く黒ずんでいるようにも見え、硬く感じます。
特にニュークロップ(当年もの)は水分量が多いため、焙煎の仕方によっては渋みやエグ味がでることもありますので、 脱水力の弱い直火焙煎では注意が必要です。

新しい生豆と古い生豆

説明
当年ものの生豆をニュークロップ、1年経ったものをパーストクロップ、2年以上経ったものをオールドクロップと言います。
更に生豆を何年も寝かせることをエージングと言い、珈琲が美味しくなるという説があります。
確かに年月のたった生豆を焙煎してみるとまろやかな味になりますが、ワインのエージングなどと違い水分量が減るだけで味の熟成が起こるわけではないようです。
強いて言えば生豆には12.0~18.0%ほどの脂質が含まれていますが、これが酸化することによって味に変化が起こる可能性はあります。
また、若干ですが何らかの成分が加水分解を起すとも思えます。
ただ、それらが必ずしも良い方向へ向かうとは私には思えません。
エージングで効果を得るならば湿度や温度等の厳重な管理が最低限必要だと思います。
水分量の少ない豆の方が火の通りが良く楽に焼けるので、脱水力の弱い直火式の焙煎機が主流だった頃に、このような話ができたように思います。
逆に、現代の主流ともいえる熱風式の焙煎機は脱水力が強いので、水分量の多いニュークロップが適していると言えます。
なお、同じような条件で新しい豆と古い豆を焙煎すると、一般的に新しい豆はシャープで力強い味で、若干の渋みを感じることがあります。
古い豆の方はソフトな味で、良い部分も悪い部分もとがったところがないと言えます。

豆の選別と等級付け

説明
精製された生豆はまずスクリーン(ふるい)にかけられ、大きさによって選別されます。
スクリーンメッシュ18とか19とか呼ばれ、それぞれ18/64インチ、19/64インチのメッシュを通りぬけなかった大きさということになります。
通常、同じ銘柄の生豆であれば大粒の豆の方が高級品として扱われます。
生豆の名前には様々な記号や数字、言葉が付加され格付けされています。
格付けは生産国独自のものが多く、その格付けの仕方や呼び方は様々です。
例えば『ブラジル・サントスNo.2、Strictly soft』であれば、まず『サントス』という名前はブラジルのサントス港から出荷された生豆ということになります。
次の『No2』は欠点豆(くず豆)の混入率を示し、300gの生豆の中に含まれる欠点豆の点数(数ではありません)が4以下であるということがわかります。
欠点豆が『0』の『No.1』は事実上ありませんので、『No.2』は最も欠点数の少ない生豆ということになります。
最後の『Strictly soft』というのは実際に独自のカップテスト(味覚審査)をして格付けされた味の品質で、7段階あるうちでトップであることがわかります。
『プルーマウンテンNo.1』と言えば日本では最高級品として扱われる豆の一つです。
ブルーマウンテンとはジャマイカにある山の名前で、この山麓で採れたブルーマウンテンを最高にハイマウンテン (ジャマイカの中部山岳地帯で栽培された豆)、プライムウォッシュド(ブルーマウンテン、ハイマウンテン以外の豆)と呼ばれるものもあります。
「No.1」とはジャマイカ独自の品質の格付けで1~3まであります。
栽培された標高で格付けされるものもあります。
『グァテマラSHB』のSHBとは『Strictly Hard Beans』の略でグァテマラの標高4500フィート以上で採れた小粒で硬い豆のことをいい、 グァテマラの中で最高級品とされています。
標高の高い順から『SHB』『HB』『SH』・・・と7段階に分けられています。
一般的には豆の大きさで格付けされるものが多いのですが、その呼び方も色々あります。
『コロンビア・スプレモ』はコロンビアの中で最高級として扱われています。
『スプレモ』はスペイン語で「最高級」という意味でスクリーンメッシュ17以上の大粒の豆につけられます。
スクリーンメッシュ14~16のものはエクセルソと呼ばれています。
『タンザニアAA』『ケニアAA』などの『AA』は生豆の大きさを表す記号で、スクリーンメッシュ18~19のものを言います。
これらのほか『HG』『CS』『AL』など様々な記号が用いられ格付けされていますが、基本的のその生産国独自のもので、 世界的に共通の格付けとしては「コロンビア」「タンザニア」「ケニア」の3つだけが『コロンビアマイルド』として格付けされ、 それ以外の水洗式の豆は『アザーマイルド』と格付けられています。

ハンドピックとは!?

説明
ハンドピックとは?

品質の良い珈琲豆を作るために避けられない作業がハンドピックです。
コーヒーの生豆も農産物である以上どんな高級な銘柄でも品質は決して一定ではなく、良い豆も悪い豆も玉石混合しています。

この悪い豆(欠点豆やくず豆といいます)はコーヒーの味に直接悪い影響を及ぼします。
特に黒豆と呼ばれる腐敗して黒く醗酵した豆はたった一粒でも一杯のコーヒーをだめにしてしまいます。
また、くず豆の比率が多いと焙煎の最中に味を悪くする成分が釜の中に回り、焙煎した豆全部の味を損なうこともあります。

良い味より悪い味の方が感じやすいのは生物の仕組みとして当たり前のことです。
仮に一杯のコーヒーに含まれている良い味が100で悪い味が20だとすると、足し引きで良い味が80ではなく、良い味80と悪い味20という感じになります。
ですから、極力このくず豆を取り除くことが重要になるわけで、この作業を「ハンドピック」と呼んでいます。

実際には普通に流通しているアラビカ種をハンドピック無しで焙煎してもくず豆の影響はわずかといったところで、少々の雑味を感じるくらいです。

くず豆と品質の高い生豆

コーヒー豆は年毎、季節毎による品質の変動が大きい作物です。
仕入れるロットにより良い生豆かどうかは見た目だけで判断はできず最終的には焙煎して確かめるしかありません。
私が言う『品質の高い生豆』とはくず豆(欠点豆)の混入率が低いものではなく、焙煎してよい味が出るもの、 つまりくず豆を除いた生豆が良質であるものの事です。

くず豆の混入率が低いものはハンドピックの有無で味の差は殆どありません。
ですが、出来上がったコーヒーが美味しいかどうかとは別の問題です。
一つ一つの豆に含まれる良い成分がそこそこなら、そこそこの味にしかなりません。
一方、くず豆を除いた豆それぞれが良質のものであれば雑味もでますが美味しい成分も多く含まれることになります。

一般にはくず豆の混入が少なく見た目が良いものは品質も高いことが多いです。
概ね機械化の進んだ大規模農場や管理の行き届いた比較的小規模の農場で栽培された豆がこれにあたります。
中国やベトナムなどコーヒー栽培の経験が浅い地域ではくず豆の混入が多いのですが、自然環境のなせる技か生豆そのものの品質は高いことがあります。
このような豆はハンドピックの手間をかけても焙煎する価値があると思います。

くず豆の種類

くず豆(欠点豆)と呼ばれるものは何種類かありますので、その主なものを挙げてみます。

黒豆

腐敗醗酵して黒ずんだ豆で明らかな異味、異臭がします。

カビ豆

文字通りカビの生えた豆です。

虫食い豆

蛾の幼虫が虫食った豆で、内部にカビが生えていることがあります。

ベルジ(シイナ)

表面にしわの入った緑色の未熟な豆で、見た目と裏腹にかなり強い異味がします。

死に豆

白っぽく熟しきっていない豆で、良い味もしなければ悪い味も殆どしません。
焙煎しても色がつきにくく、焼きむらができます。

シェル(貝殻豆)

文字通り貝殻のような形をした奇形の豆で、これ自体は問題ないのですが、体積が少ないため焦げやすく、キツイ苦味の元になります。

われ豆

精製や運搬の際に割れた豆で、シェルと同じようにこれ自体は問題がないのですが、こげ味が出やすいので取り除くに越したことはありません。
この他にも石や枝葉、とうもろこしのタネ、昆虫の死骸なども欠点豆になります。

くず豆を取り除く

さて、実際にくず豆を取り除く際に重要となるのが良い豆とくず豆のボーダーラインです。
黒豆やカビ豆などの明らかに悪い豆は簡単に取り除けるとして、シェルや、死に豆までは至らない未熟な豆、形が悪いだけの豆などはかなり微妙なところがあります。
本来ならば「疑わしきは罰せよ!」のスタイルで行うべきですが、正直やり始めると限がありませんしコストも跳ね上がるので、ボーダーラインを決めなければなりません。

実は当店で仕入れている生豆の殆どは、現地もしくは日本の業者で、人の手や機械で選別されているものです。
ですが、そのままで満足できる事はあまり無く、ものにより2~10%程度は取り除かなければなりません。
数値で言えば簡単ですが、実際に人の目と指で取り除くとなると大変な労力です。
ハンドピックを行ってみるとわかるのですが、はじめはすいすい取り除けても後になるほどくず豆を発見するのは困難になり、時間がかかります。
表はきれいでもひっくり返してみたらカビ豆だった、なんてこともあります。
ハンドピック率が進むほど手間は等比級数的に増えますので、感覚的にハンドピック率90%程度が、味の面でもコストの面でもバランスがとれているように思えます。

くず豆が100個入っていたらそのうちの90個を取り除くという意味ではなく、くず豆の影響を90%まで取り除くという意味で、当店独自の言い方です。
くず豆の中には生豆の状態では見分けやすいのに焙煎してしまうと発見が困難になるものや、逆に生豆の状態ではわかりにくくても焙煎すると焼きむらと なって見分けやすくなるものもあります。
当店では焙煎後もこのような焼きむらのある豆を取り除くことにより、コストと味のバランスをとっています。

※イエメン産のモカ・マタリなどの銘柄は、焼きむらのある豆を取りすぎると味も平坦になってしまうため、 焙煎後のハンドピックはほどほどにしています。